とれいん工房の鉄道省私文書館

鉄道関係の情報を中心としたブログ。主に未成線や廃線、鉄道史、宮脇俊三、関西の鉄道、ローカル線など鉄道趣味の外縁部を紹介します。

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宮脇俊三書評40作 (14)「台湾鉄路千公里」

 宮脇作品初の海外ネタになる。隣国、台湾に広がる1034キロの鉄道路線を一週間で全線踏破してしまう。鉄道趣味なんて意識のない国だから、宮脇の行動は奇異そのもの。用もないのに終着駅に来て、そのまま折り返そうとする……そんなマニアには当たり前のことが伝わらない。
 そして、文章のあちこちで触れられる熱帯ならではの暑さ、旧植民地ならではの遺物。日本で忘れられたアジアの匂いに対する郷愁が満ち満ちている。それがあまりにも気持ちよすぎる。


台湾鉄路千公里 台湾鉄路千公里
宮脇 俊三 (1980/01)
角川書店

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台湾鉄路千公里 台湾鉄路千公里
宮脇 俊三 (1985/08)
角川書店

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 ただ、その台湾の気持ちよさに浸って過去を回想し出すと、話はおかしくなる。1980年ころの台湾では日本語を話す世代がまだ普通に街を歩いていた。そしてすでに日本が失っていた風景が街が鉄道がまだそこには残っていた。そうした郷愁に引きずり込まれていくのは、宮脇らの世代にとっても、戦前を知らない世代にとっても気持ちよいものである。ただ、旧植民地への無批判な郷愁を垂れ流すのは別な問題をはらみかねない。日本支配に対する非難も同様だ。
 宮脇が、そうした課題やトラウマをあえて避けたのは、歴史の評価を論評しだしたら別の話になってしまう。それを避けたかったのであろう。そして、近代を脱却して新たな時代を迎えつつあった南の島の一面を見事に描き出している。

 この後も海外作品を書き続けるが、そのほとんどは編集者カメラマンとの旅であり、個人で回ったというのはこれが最後になる。やはり、この時期、台湾と言えば女性買春とかそっちの方でも注目されていたわけで、宮脇もホテルスタッフや小姐にまとわりつかれている。
 1980年と言うから、ちょうど「鉄道ジャーナル」が中国ネタを次々と打ち出して、東アジアの鉄道が着目された時代でもありました。鉄道系出版において、海外物というのは決して売れるネタじゃない。正直、鉄道マニアのほとんどは海外に興味がないから。実際、自分の持っているのは3刷なんですが、刊行から4年後の1984年発行となっていました。今では増刷がかかるだけでも凄いのだが、当時の宮脇の他著作と比べると、やや動きは鈍かったのは確かである。

【1980年 角川書店】
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  1. 2006/09/23(土) 07:57:48|
  2. 宮脇俊三の話

プロフィール

もりくち

Author:もりくち
関西在住の鉄道マニア兼バックパッカー。「とれいん工房」として同人誌を多数発行。2001年に「鉄道未成線を歩く 私鉄編」、2002年に「鉄道未成線を歩く 国鉄編」をJTB出版事業局(現、JTBパブリッシング)から刊行しています。日々の話は、下のリンク先にある「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」へ。連絡先はmalmori●nifty.com。

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