とれいん工房の鉄道省私文書館

鉄道関係の情報を中心としたブログ。主に未成線や廃線、鉄道史、宮脇俊三、関西の鉄道、ローカル線など鉄道趣味の外縁部を紹介します。

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宮脇俊三書評40作 (15)「時刻表ひとり旅」

 時刻表と鉄道旅行の楽しさを解きほぐす、いわば宮脇版「鉄道旅行術」とも言える作品だ。講談社現代新書のレーベルに入っている。意外にも新書扱いの著作は宮脇作品ではこれ一冊だけだった。
 時刻表とは「見る」ものであり、「調べる」ものであり、「読む」ものではない...というのは通常の理解である。じゃあ、「時刻表のどこがそんなにおもしろいのか」と問われると、なかなか返答に窮する。時刻表は何も答えてくれない。
 じゃあ、宮脇ならではの楽しみ方を伝授しましょうというのがこの本の趣旨である。

時刻表ひとり旅 時刻表ひとり旅
宮脇 俊三 (1981/01)
講談社

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 冒頭、大宮7:24発高崎行きの普通電車を取り上げ、それがどこで特急や急行に追い抜かれるのかと解説する。続いてグリーン車の普通間合い使用、御殿場線の栄光と没落……そしてp.22で改めて「時刻表のおもしろさを一言であらわすのは不可能である」とまとめつつも、その無謀なる挑戦を続けていく。
 過密ダイヤの問題、東北特急の減速問題、羽越線の単線と複線のまだら模様などなど。スジ屋さんの苦労のあたりの話は、宮脇が中央公論社時代に編集した阪田貞之「列車ダイヤの話」(1964,中央公論社)のアイデアを借用しているのであろう。また、国鉄全線大集会は「鉄道ジャーナル」の記事から借用したものである。新幹線の車窓風景と言った身近な事象を題材に取っている点は一般読者への配慮を考えてのことだろう。

 そうした話題を重ねていくことで、物言わぬ時刻表から情報を読みとる楽しさを伝えようとしているのであるが、再録物の第二章と第四章あたりは前後と違和感がある。確かにバラエティーには富んでいるのだが、やや散漫な印象になっている。
 まあ、私の場合、これと『時刻表名探偵』で時刻表の妙を教えてもらったのだから満足はしているのだけど。そして、智頭線に対する文章。これって私的には衝撃でした。

 個人的に興味深かったのは、p.10。上でも記した「時刻表のどこがそんなにおもしろいのか」という問いかけに対する回答に苦慮しながら、

・時刻表は何事も主張しない
・私はこう思うとか、かくあるべきだとか、愚痴ひとつこぼさない
・弁解もしない
・それでいて一日二万本もの列車を走らせている

と言い訳し、「不言実行、桃李言わざれど下自ら蹊を成す。おもしろくないはずはないでしょう」とまとめている。
 これでは何も説明になっていないと言うのは本人も先刻承知。ただ、宮脇のこの時刻表に対する視点は、彼自身の鉄道旅行に対する関心というか、著作活動に対する立ち位置をも示していると思う。時刻表や鉄道旅行の楽しさを語るのに、余計な修飾語はいらないと言い切っているのだ。宮脇作品が永年愛されてきたのは、そうした潔さが背景にあったのだろう。

 【1981年 講談社】

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  1. 2006/09/24(日) 14:19:00|
  2. 宮脇俊三の話

プロフィール

もりくち

Author:もりくち
関西在住の鉄道マニア兼バックパッカー。「とれいん工房」として同人誌を多数発行。2001年に「鉄道未成線を歩く 私鉄編」、2002年に「鉄道未成線を歩く 国鉄編」をJTB出版事業局(現、JTBパブリッシング)から刊行しています。日々の話は、下のリンク先にある「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」へ。連絡先はmalmori●nifty.com。

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