とれいん工房の鉄道省私文書館

鉄道関係の情報を中心としたブログ。主に未成線や廃線、鉄道史、宮脇俊三、関西の鉄道、ローカル線など鉄道趣味の外縁部を紹介します。

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神岡鉱山茂住坑と神岡鉱山鉄道

 年末に出した「遊覧鉄道に乗ってみたい!」の中から、鉄道マニアでもほとんど乗車する機会がなかったと思われる鉄道について紹介してみましょう。
 まずは、旧三井金属鉱山神岡鉱山茂住坑のトロッコ列車の話です。
 茂住坑は、2001年に閉山となった神岡鉱山で最後まで採掘された鉱脈のことで、その入口は12月で廃止された神岡鉄道茂住駅跡から徒歩15分ほど歩いたところにありました。80年代からは、別に設けられた跡津川坑口からトラックで直接乗り入れることが出来るようになり、トロッコ線の使命は消え失せたのですが、後述するカオミカンデや廃水処理施設の管理のため、引き続きその機能は残されていました。1997年にイタイイタイ病の調査団に加わったときに乗車する機会がありまして、10年後の今、改めて報告することにしたのです。

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神岡鉱山鉄道】
場所  岐阜県飛騨市神岡町東茂住(旧神岡町)
タイプ 蓄電池機関車(1979年開業)
概要  延長3㎞ 軌間610㎜ 所要15分
車両  機関車1両+トロッコ2両
運賃   無賃
営業 現在は非公開(1998年頃から?)
アクセス 猪谷駅から富山地鉄バスで8分 4往復 茂住下車
     他にスクールバスや巡回バスが7往復
     富山から国道41号を南下

 「イタイイタイ病の調査に行かないか」と大学のH助教授が声をかけてきたのは10年前に大学院へ通っていたときのこと。
 先生は、病気の原因となったカドミウムの汚染状況を調査する専門家グループの一員だった。ここ三十年間、神岡鉱山で水質調査を定期的に続けており、この夏も他の仲間たちや現地の被害者グループと立入調査を行う手はずになっていた。私は地方財政学を専攻していて環境問題については門外漢なのだが、日頃から可愛がってもらっており、ついでに調査旅行へ誘われたのだ。
 日曜日に現地へ入り、富山県で研究会。月・火と神岡鉱山での調査を行うという。
 三日間の休みは取りにくい。同じ院生仲間のYさんはパス。僕も塾講師の仕事があるし、最初は断ろうとした。
 ところが、スケジュール表を見て気が変わった。火曜日には茂住坑から坑道の奥まで入って水質調査をするというのである。茂住にはまだ鉱山鉄道が残っている。
 「へえ、坑内に入ってまで調査をするんですか。で、どうやって入坑するんですか」と私。大学院生としての領分を忘れ、マニアの性を出てしまう。予想通り、トロッコは現存しており、坑内の移動に使うことになるらしい。それを確認した後、参加を申し込むことにした。内心忸怩たるものはあったが、興味の方向がトロッコにあることは黙っておいていた。それは礼儀だろう。
 関係者以外が鉱山鉄道に乗ることは極めて難しい。神岡の場合、後述するカミオカンデの見学ツアー「ジオスペースアドベンチャー」が東大と神岡町の手で年に2~3回催され、その際、700mほどトロッコに乗車することになる。でも、今回の調査では最深部まで4㎞ほどの道のりだ。マニア的には願ってもないチャンスである。

 さて、ここからは長くなるが、神岡鉱山と鉱山鉄道の概要を見ていきたい。

 16世紀から採掘が始まった神岡鉱山は、1874年以降、三井財閥の手で近代的な鉱山として生まれ変わり、国内では不足がちな亜鉛・鉛資源の安定供給源として重要な役割を果たす。かつては直営の鉱山鉄道が笹津~猪谷~茂住~鹿間~神岡間などで運行されていた。
 だが、国鉄が神岡鉄道(猪谷~神岡)を開業させた1966年頃から事情が変わってくる。神通川下流部の富山県婦中町などの農村でイタイイタイ病被害が深刻になり、患者団体が三井金属鉱業株式会社を相手取り集団提訴していた。1971年に患者側勝訴の判決が出て、カドミウムの処理に巨額の資金を投じなければならなくなる。また、円高による海外輸入の亜鉛との価格競争が激しくなり、人件費高騰もあって従来の経営を維持できなくなった。
 そこで不採算坑の整理をする一方、トロッコでの鉱石輸送を取りやめる。坑道を全て斜坑でつなげた上、大型重機などの技術を採用することで合理化を図った。跡津川坑口から直接トラックで乗り入れるルートを完成させた。こうしてトロッコ軌道は鉱石輸送から外される。
 最後まで鉱山内に残っていたのは茂住坑口~茂住鉱床間の4㎞だった。その茂住坑も1994年から操業を休止する。
 ところが茂住の軌道は消えなかった。今でもトロッコは運行されている。
 一つは、三井グループがまだ権益を捨てていないこと。採算悪化で亜鉛の採掘を取りやめたが、まだ枯渇したわけではない。将来の非常時に備えてとりあえず施設だけは維持したい。ただ、ここはイタイイタイ病の発生源となったし、今でも廃水処理施設は稼働している。それらの機能を止めることができない。坑内で落盤その他の事態が起きるのも防がねばならない。それゆえに施設を管理する機具を運搬するためにトロッコを残しておかねばならない。
 もう一つは、カミオカンデの存在である。後にノーベル賞を取ることになる小柴昌俊ら東京大学宇宙線研究所のグループがニュートリノを観測すべく神岡鉱山茂住坑に研究所を構えたのは1983年のこと。そ坑内1㎞ほど奥まったところに建設されたため、研究者たちはトロッコで行き来せざるを得なかった。1996年にはスーパーカミオカンデという別の施設が設けられ、そちらへはクルマで直接乗り入れることができたが、旧施設の後始末のためにトロッコは必要とされていた。
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  1. 2007/01/23(火) 19:32:58|
  2. 【同人】遊覧鉄道に乗ってみたい!

プロフィール

もりくち

Author:もりくち
関西在住の鉄道マニア兼バックパッカー。「とれいん工房」として同人誌を多数発行。2001年に「鉄道未成線を歩く 私鉄編」、2002年に「鉄道未成線を歩く 国鉄編」をJTB出版事業局(現、JTBパブリッシング)から刊行しています。日々の話は、下のリンク先にある「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」へ。連絡先はmalmori●nifty.com。

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