とれいん工房の鉄道省私文書館

鉄道関係の情報を中心としたブログ。主に未成線や廃線、鉄道史、宮脇俊三、関西の鉄道、ローカル線など鉄道趣味の外縁部を紹介します。

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宮脇俊三書評40作 (5)「汽車旅12ヵ月」

ここの姉妹サイト、「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」の元ネタとなった作品です。


汽車旅12ヵ月 汽車旅12ヵ月
宮脇 俊三 (1982/04)
新潮社

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 1月から12月までの各月をテーマとして、12編の歳時記風にまとめた短編集。『時刻表2万キロ』や『最長片道切符の旅』が「宮脇旅行術実践編」とすると、こちらはその「理念編」になる。不要不急の旅をする上での心構えを語りかけてくれる。もちろん、「○○すべし」という精神論ではない。ただただ季節の移り変わりにあわせた鉄道旅行の楽しさをいつもの調子で語りかけてくれる。

 たとえば1月と8月。帰省客でごった返す正月や盆の旅行を「悪条件に満ちている」と愚痴りながらも、その時期しか休みを取れないのは自分も同じ。取りにくい指定券の確保に一喜一憂しながらも遠出の日々を待ち続ける……そんなサラリーマンの悲哀が行間に漂っている。
 その一方で、閑散期にも色々と利点や魅力があるんだということを力説し、この時期に旅をすべし……と訴えかける。梅雨が少ない6月に北海道へという理屈は分かるけど、2月はカニを食えとなると少々怪しい。京都は12月がイイ、と漬け物の話ばかりで終始するしてしまうところにも、宮脇流のイタズラ心が満ち満ちている。
 ともあれ、結局、なんだかんだ言っては、毎月、ヒマを見つければ全国を旅している……というオチになっているわけです。
 おもしろいのは、8月の項の冒頭。
 交通機関を目的地まで道具として利用している限りは「文明」になるのだが、目的と手段とが逆転して用もないのに汽車に乗るようになると「文化」になるのでは……と大上段で語りかけるこれって、その後の宮脇理論のベースとなる「文明→文化論」なんだよね。
 これって、そのまま語り続けると、鉄道マニアが好きな「べき論」や「大人の鉄道趣味論」になってしまうのだけど、そこらは深みにはまる前に、「こういう議論は言い出したとたんに恥ずかしくなる」と尻すぼみに議論をまとめてしまう。そこらの奥ゆかしさというか、諧謔的な姿勢が好きなんだよね、ボクは。

         【1979年 潮出版社】

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  1. 2006/09/05(火) 20:05:49|
  2. 宮脇俊三の話

プロフィール

もりくち

Author:もりくち
関西在住の鉄道マニア兼バックパッカー。「とれいん工房」として同人誌を多数発行。2001年に「鉄道未成線を歩く 私鉄編」、2002年に「鉄道未成線を歩く 国鉄編」をJTB出版事業局(現、JTBパブリッシング)から刊行しています。日々の話は、下のリンク先にある「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」へ。連絡先はmalmori●nifty.com。

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